Resized to 21% of original (view original)
Artist's commentary
ひとりの夜
「その夜は、とても寂しかったことを覚えている。子が死に、夫が死に、私はもう打ちひしがれてしまっていた。
だが、決めなくてはならない。女として、王妃として、ひとりの人間として、私は決めなくてはならなかった。
即ち、叫び声をあげるか、黙って死ぬか。
一方はどう取り繕っても悪であり、人が死ぬ。
一方は惨めではあるが楽であり、死ぬのは私一人だ。
暗い暗い、雨の夜。私は一人でどうするべきか考えていた。
だが、答えは明白だった。
そう………そんなの、私に出来るわけがない!!!
無理だ、無理に決まっている!
私のような不運な、しかも女が! 民の上にたって戦うなど、出来よう筈はない!
怒りはある。民を救いたいという気持ちもある。だが………私には、無理なのだ。
しかし………それでも、私は最後には戦うことを決意した。
何故だったかは覚えていない。天の声も、神の啓示も無かった。きっと、突発的な衝動に身を任せて………というやつだろう。
結果は言うまでもないことだが、私は敗れ、死んだ。
後悔はない。
どうあれ自分が選んだ道に、誇りも持っている。
愛する民のために戦えたことを嬉しく思う。
だが………思ってしまうのだ。
もし、あの夜。全てを決めたあの夜に、もし私の隣に誰かがいてくれたのなら………何かが。何かが、ほんの少し、変わっていたのかもしれない………とな。
ふふ………だから、マスター。今は、私の隣にいてくれ。貴殿がそこにいてくれるのなら………うん。きっと、今度は」
………………
個人的、今章のMVPです!
きっとこの娘は誰もいないところで一人で泣くタイプの娘だと思うんですよね………アニキ以上の不幸体質ですし、応援してあげたくなる………